(契約から出る最終仕様書ではない) 仕    様    書   (案) 品名及び数量  シリコンマイクロストリップセンサー 一式 一般事項 (1)納入場所     茨城県つくば市大穂1−1     高エネルギー加速器研究機構 (2)納入期限     平成12年3月24日 (3)検査及び引渡し     納入場所において、供給者立会の上当該物品の納入を 確認するための検査を行い合格と認めた後、引渡しを受 けるものとする。 (4)物品の検査等 仕様に明記した検査等については、前項の「検査及び 引渡し」の前に本機構係官が行う。 (5)提出書類 ・カタログ 3部 ・データベース(PCフォーマットフロッピーデスク若しくは 本機構のコンピュータ内に移管されたもの)1部 ・データシート 3部 (6)保証期間 保証期間は、検査合格後1年間とする。 (7)契約に必要な細目     文部省が定めた物品供給契約基準による。 (8)そ の 他 本件は、本仕様書及び図面によって行うものとし、これらに疑義 が生じた時は、本機構係官の指示によること。       平成11年8月4日              文部教官  海 野 義 信 《供給仕様》 1.概 要    平成16年7月の完成を目指して建設が始められている 欧州合同原子核研究機関(CERN)でのLHC加速器を用いた 衝突実験研究では、ヒッグス粒子や超対称性粒子の発見など素 粒子物理学の本質的発展が期待されている。このLHC 加速器を用いた陽子・陽子衝突実験研 究のために、現在2 つの国際協力実験測定器(アトラス測定器、シーエムエス測定器 )の建設が進められている。我が国の研究者は、このうちの アトラス測定器に参加する。アトラス測定器は、各種粒子検出器 が一体となった大型実験設備であり、実験参加国がそれぞれの 粒子検出器部分の建設を分担し、国際協力としてその建設が行 われる。我が国の研究者は、その分担の一つとして、シリコン 飛跡検出器の建設を行う。この検出器は、センサー部( シリコンマイク ロストリップセンサー)と読み出し回路部で 構成される「シリコンストリップモジュール」が多数組み合 わされたもので、数十ミクロンの高い位置精度と数十ナノ秒の早 い レスポンスを持ち、衝突点近傍での荷電粒子の飛跡測定に 非常に適した測定器となる。 本件は、シリコン飛跡検出器の シリコンストリップモジュールに用いられる シリコンマイクロストリップセンサーの購入に関するものである。 2. 見積範囲    シリコンマイクロストリップセンサー 一式 3.仕 様 3−1 基本仕様   シリコンマイクロストリップセンサーは、24GeV/c 陽子線による3×1014粒子/cuの放射線被爆後でも以下の仕様を 満たすものとする。(数値は低温環境下(−8℃)で放射線被爆 した後、25℃で7日間アニールした後の値とする。)これらの 条件を満たすプロトタイプセンサーのデータを提出すること。 購入数量は1,000枚とする。 1)最高運転電圧:350ボルト以上(バイアス 電圧供給回路部での電圧降下を補正した後の運転電圧) 2)電荷収集効率:最高運転電圧で最高電荷収集効率の 90%以上 3)インターストリップ抵抗:最高運転電圧でバイアス 抵抗値の2倍以上 4)インターストリップ容量:両側各2本ストリップに対 し1.5pF/cm以下(最高運転電圧で測定周波数100kHz) 5)暗電流:-18℃で電圧450ボルトまで、250 マイクロアンペア以下 6)暗電流安定性:-10℃下、最高運転電圧で24時間の 間の暗電流の変化が3%以下 7)微少放電:放射線被爆後、電圧を300ボルトから400 ボルトへ引き上げた時、微少放電による雑音上昇分が5%以下 8)不良ストリップ:被爆前の条件でカウントされる不良 ストリップ数が、被爆前の許容範囲内である事 3−2 シリコンマイクロストリップセンサー仕様 1)センサー全長:63960ミクロン±25ミクロン 2)センサー全幅:63560ミクロン±25ミクロン 3)シリコン基材:Nタイプ、厚さ285±15ミクロン、厚さ 一様性10ミクロン以内、 曲がり200ミクロン以内、 全空乏化電圧50ボルト以上、150ボルト以下 4)インブラントストリップ数:768本+2本 5)読み出しストリップ数:768本+2本 6)インブラントストリップ:幅16ミクロン、長さ62mm、 ピッチ80ミクロン、 高濃度p打ち込み、線抵抗 200kオーム/cm以下 7)読み出しストリップ:純アルミニウム、幅22ミクロン 、線抵抗15オーム/cm以下、 インプラントストリップへ 容量結合、結合容量20pF/cm以上 8)ストリップ読み出しパッド:サイズ200ミクロン×56 ミクロン、アルミワイヤーボンド 用 9)インター ストリップ容量:両側1本への静電容量が 100kHz、150ボルトで、1.1pF/cm 以下 10)インターストリップ抵抗:150ボルトで、バイアス 抵抗値の2倍以上 11)ストリップ番号:10本置きにマーク及び番号 12)バイアス抵抗:ポリシリコン材、 インプラントストリップ上に重ねる、抵抗値 1.25± 0.75メガオーム以内 13)バイアス線コンタクト:四隅でコンタクト可能な事 14)直流接触パッド:バイアス抵抗と インプラントストリップ接続部及びインプラントスト リップ端に直流接触パッドを設ける 15)ガード構造:バイアス供給線の外にガード線を1本設 け、四隅コーナー付近にコンタクト部を設ける 16)リーチスルー保護:リーチスルー構造により インプラントストリップとバイアス電圧と の差が制限されている事( バイアス供給線とインプラントストリッ プ間の距離を5から10ミクロン とする) 17)表面保護:シリコンオキサイドによる パッシベーション 18)裏面処理:メタライズ処理、パッシベーション無し 19)フィデューシャルマーク:四隅コーナー及び周辺に 各種のマークを設ける 20)センサー番号パッド:メーカー、センサー番号を認識 するパッドを設け、1から99999ま での番号を使い、 バイナリーコード10進数でセンサー番号をセン サー番号認識パッドにマーク する 21)マスクアライメント許容範囲:3ミクロン以内 22)カットエッジ:ダイシングは全厚カット、 カットエッジはスムースで、欠けは50ミクロ ン以内、切れカス等の不要物がエッジ についていないこと 23)表面傷:スクラッチ等の傷が表・裏面に無いこと 24)暗電流:150ボルトで6マイクロアンペア以下、350 ボルトで20マイクロアンペア以下(測定温度を記載し、20 ℃時に 換算して) 25)暗電流安定性:乾燥空気雰囲気で24時間150ボルト 印加し、暗電流の増加が2マイクロアンペア以下 なお、配置及び詳細等については添付の図を参照のこと。 3−4 テスト構造 本体をプロセスするシリコンウェーハー上本体脇に、 ミニチュアストリップセンサー 及び各種プロセスモニター用のテスト構造をプロセス する。 1)ミニチュアストリップセンサー:外形1cm×1cm、本体 のストリップ本数、ストリップ長 さを縮小したもの、 ストリップ数98本、ストリップ長 8mm、本体数の10%を サンプリングでフルカットし納品 2)テスト構造 :大面積ダイオード、大面積 キャパシター、MOSキャパシター、試験抵 抗(ポリシリコン、イオン打ち込み、 アルミ)を本体脇にプロセスし、 プロセスの異常・変化をモニター すること。本機構において本体及び ミニチュアストリップセンサーに異常が発見されたとき、 これらのテスト 構造の試験データ及び テスト構造に本機構がアクセスできるものとする。 なお、テスト構造の詳細は別途協議の 上決定するものとする。 3)ミニチュアストリップセンサー及び各種 プロセスモニター用のテスト構造と本体は番号対応をとること。 4)納品されない ミニチュアストリップセンサー・ テスト構造は2年間供給者において保管し、その後の廃棄は 本機構と協議の上決定する。 4.試験等 4−1 供給者が行う試験等 供給者は、センサー本体及びフルカットした ミニチュアストリップセンサーについて、以下の検査又は試験を 行い、その結果を本機構指定のデータベースに入力し データベース及びその打ち出しのデーターシートを本機構に提出 するものとする。なお、試験等詳細に ついては、別途本機構監督職員の指示に従うものとする 。 1)全量検査 ・外観検査:センサー仕様を満足すること ・電圧・電流特性:0ボルトから350ボルトまでの 暗電流測定値(10ボルトステップ)、 150及び350ボルトでセンサー仕様を 満足すること ・読み出しストリップ 不良:平均値1%以内、最大でも 2%を越えない事(検査は可能な限り「ROW C」のパッドを使用) (読み出しストリップ不良の定義) ・読み出しストリップのパンチスルー:100ボルトで インプラントと読み出しストリッ プ間で ショートするもの、尚テスト後各ストリッ プはグランドに 戻しチャージアップを防止するこ と ・読み出しストリップの断線:途中で断線しているもの ・読み出しストリップ間のショート:ストリップ間で ショートしているもの 2)プロセスロット毎2枚以上 ・バイアス抵抗値:本体若しくはテスト構造で測定、 仕様内に入ること ・全空乏化電圧:50ボルト以上、150ボルト以下、電圧 ・静電容量測定法で求める ・暗電流安定性:乾燥空気雰囲気で24時間150ボルト 印加し温度変化による電流値の補正をした後、暗電流の増加が2 マイクロアンペア以下 ・インプラントストリップ不良: インプラントストリップ不良を測定し、読み出しストリ ップ不良との合計が読 み出しストリップ不良率を越えな いこと (インプラントストリップ不良の定義) ・インプラントストリップの断線:途中で断線 しているもの ・インプラントストリップ間のショート: インプラントストリップ間でショートしてい るもの ・バイアス抵抗との断線:インプラント ストリップと バイアス抵抗の接続が断線してい るもの 4−2 供給者が提出する資料、データベース及びデータシート 項目 1)カタログ 2)検査成績データベース(項目名及び入力は英語で行う) ・供給者の名前(本機構指定) ・センサーの名前(B2) ・供給者のセンサー番号(ロット番号を含む) ・ATLASセンサー番号(1〜99999) ・ウェーハー基材供給者コード ・ウェーハー基材方向(111若しくは100) ・ウェーハー基材比抵抗範囲(kOhm・cm)(xxx - yyy) ・ウェーハー基材ロット番号 ・ウェーハー厚さ ・全空乏化電圧(V) ・バイアス抵抗値範囲(MOhm)(xxxx - yyyy) ・パンチスルー読み出しストリップ番号リスト(n1, n2, . ..) ・隣ショート読み出しストリップ番号リスト(n1, n2, ...) ・断線読み出しストリップ番号リスト(n1, n2, ...) ・電圧・電流測定値リスト(V, nA)(v1,v2,..., a1,a2, ...) ・電圧・電流測定時温度(℃) ・24時間後の増加電流値(nA) ・24時間後の増加電流評価温度(℃) ・隣ショートインプラントストリップ番号リスト(n1, n2, ...) ・断線インプラントストリップ番号リスト(n1, n2, ...) ・断線バイアス抵抗ストリップ番号リスト(n1, n2, ...) 4−3 本機構が行う検査等 1)カタログの内容確認 2)データベース及びデータシート内容確認 3)外観検査